2007年 03月 23日
明日からいよいよユーロ08の予選が再開される。 一部の評価では、「ワールドカップよりもレベルが高い」と言う人もいるくらいだ。ワールドカップに比べて、欧州の出場枠が多く、強豪国が順当に出てくるのでハイレベルな戦いが見られる、と言うのがその主論だ。もちろん、フットボールはヨーロッパだけで行われているものではないが、市場的な魅力から、名だたるプレイヤーの殆どが欧州に籍を置き、欧州が最もハイレベルなサッカーシーンであることは疑いの余地は無い。その欧州各国のトップリーグてプレーしている選手たちが、母国に集まりプレーするのだから、やはりその国の人たちにとっては熱狂しない訳が無いだろう。 さて、予選を間近に控えた今回は、早くも"予選敗退の危機"を迎えているサッカー先進国の2カ国を取り上げたい。かつてエントリーで親善試合を取り上げた、イングランドとスペインである。イングランドは敗退すれば予選突破が極めて難しくなり、スペインにおいては引き分けでも予選突破が危うくなる。マクラーレンとアラゴネスは、文字通り「進退をかけての1戦」となるだろう。 それでは、この2カ国の問題点を取り上げたい。 ■ イングランド 【問題点1】 ジェラードとランパードの共存の可能性 06年のW杯でも取り沙汰された、同時期に2名の攻撃的なセンタープレイヤーを排出したイングランドのジェラードとランパード。この2名の共存が可能かどうかが今もって議論されている。中盤からの攻め上がりを持ち味とし、高精度のミドルを保持するという、キャラクターが全く一緒なこの2名。やはり、同じに攻めあがって守備面での不安を残したり、プレーが被りリズムに悪影響を及ぼしていたのが今までの実情だ。 マクラーレン監督は、この問題にある程度の結論を見出す必要があるだろう。中盤を4枚にするのか、5枚にするのか、この辺もある程度プランを持つ必要がある。 現状、マクラーレンは中盤の底にアンカーを1枚つけるパターンを好んでいるようだ。このアンカーは、守備力の高く適度にボールを散らせるボランチタイプの選手が求められており、現状ではハーグリーブスが当確、次点でキャリックあたりだろうか。 彼らを起用した場合、FWを2トップにした場合は必然的に残りのMFは3枚と言うことになる。ともすれば、ジェラードとランパードの共存は難しくなり、共存させる場合どちらか片方に本職ではないポジションを強いることになる。 リバプールでは、RSHを担当することもあるジェラードだが、やはり本職ではないなぁと言うのをプレーを見て感じることが多い。もちろん、レベルとしては決して低くないのだがやはりCHに入ったほうが彼の強みが引き出せるような気がする。 それに、ウインガータイプのSHは、ダウニング、レノン、ショーン・ライト・フィリップス、怪我しているがJ・コールと有力候補が多く、ジェラードを回さずとも一線で活躍できる選手は沢山いるのだ。 ともすれば、後は中盤を5枚にして1トップにするか、彼らのうちの1枚の起用を見送るしか方法はない。後述するが、ルーニーの相手役もなかなか見つからないことから、ワントップもありといえばありだが、ルーニー自体が純粋なポストプレイヤーと言うよりは、少し下がり目の位置からのチャンスメイクに長けた選手なので、この使い方が機能するかは疑問の余地がある。 共存させる、させない、は、明確にすべきではないだろうか。 【問題点2】 ルーニーの相手役の不在 新旧ワンダーボーイと唄われた、オーウェンとルーニーの2トップはなかなか実現しない。どちらかがピッチに立っているときはどちらかが怪我を負い、現在はオーウェンが離脱中。ルーニーのパートナー探しが急務となっている。ダレン・ベント、デフォー、クラウチ…一番ポジション的に近いかなぁ、と思われるクラウチは、クラブチームではベンチが定位置と信頼が今一歩置けない。前回のテストマッチでも、ダイアーをFWに持ってくると言う苦肉の策を使うもイマイチ機能せず、文字通りFWは人材難に陥っている。 この部分もいろいろと論議が盛んに行われているようだが、八百屋的にはデフォーにルーニーと組ませて見たい気がする。恐らく誰を持ってきても結果次第では批判を浴びるに違いがないポジションなだけに、これまでまがいなりにも候補に挙がってきたこの2名に、将来を託すと言う意味で信頼しているのもいいと思う。 逆に相性がよさそうに見えるクラウチだが、オフザボールの動きが乏しすぎる為に、ルーニーを活かせるタレントにはなりえない。彼の怖さは高さだけで、強さも狡猾さも持ち合わせない。残念ながら、A代表でプレーできるだけの器は無いように感じる。 また、U-21代表のニュージェントを追加招集したらしいがこの辺も未知数と言えば未知数。マクラーレンはパートナーに誰を指名するだろうか。 【問題点3 怪我人の多さをどのようにカバーするか】 最大の問題点はRSBの候補が相次ぐ怪我で離脱していることだ。ギャリー・ネヴィルに引き続き、後継者と目された、マイカー・リチャーズも戦線離脱。マクラーレンは、アストン・ヴィラのギャレス・バリーを追加召集することを決めた。 その他にも、今シーズンは多くの怪我人が出ており、満足にオーダーが組めないという現状も抱えている。スコールズなどのベテランに代表復帰を打診しているのも、素晴らしいパフォーマンスもさることながら、やはり怪我人による層の薄さが気になって仕方が無いからだろう。この辺の対応が、マクラーレンに迫られている。 さて、気になるイングランドの日程は、 24日 イスラエル戦(アウェー) 28日 アンドラ戦(アウェー) となっている。相手だけ見れば、勝てない相手と言うことは無いのだが、24日のイスラエル戦は要注意。イスラエルは欧州の舞台での実績は無いが、去年のユーロ予選でアウェーロシアに引き分けるなどの粘り強さを持っている。ここを乗り切れるかどうかが、イングランドの鍵となるだろう。 果たして、マクラーレンは迷えるチームを明確な方向に導くことが出来るのであろうか?注目したい。 (長くなったのでスペインの問題点は後日指摘したい(^^ゞ)
by R-130
| 2007-03-23 21:39
| ∟UEFA Euro 2008
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