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2007年 02月 10日
サッカー:UEFAチャンピオンズリーグ ベスト16プレビュー② インテルvsバレンシア
 今回は、セリエAでぶっちぎりの強さを見せ付けているインテルと、最近調子を上げてきたスペインのバレンシアの1戦を取り上げたい。
 インテルの強さは世界に通用するのか?大事な試金石となる1戦である。


インテル (リーグ成績 18勝3分 1位)

-故障者リスト-(1st legまでに戻れる…○ 微妙…△ 無理…×)
△ アルバロ・レコバ (FW)


-対戦相手との過去の成績-
3勝2敗3分  12得点9失点 
直近の対戦成績 CL04-05年 グループステージ 1st 5-1 2nd 0-0  


-予想スタメン-

      アドリアーノ      イブラヒモビッチ

            スタンコビッチ

     サネッティ            ヴィエラ

             ダクール

グロッソ   マテラッツィ  コルドバ  マイコン

            J・セーザル


■ インテルの強み … 世界選抜ともいえる選手の質 そして層の厚さ リーグで絶好調。
 カルチョ・スキャンダルの恩恵を受けて、ユーべの主力を確保し、序盤こそもたついたものの現在セリエAを独走中のインテル。各ポジションにレベルの高い選手を2名確保し、少々の怪我人が出てもチームの質が落ちることはない陣容が揃っている。
 システムが4-3-1-2に固定され、それに伴う戦術が確立されてからはリーガでも無類の強さを見せつけ現在14連勝中と2位ローマに勝ち点11差をつけて、ぶっちぎりの首位独走中だ。序盤には多かった怪我も続々復帰、極度のスランプに陥っていたアドリアーノも復調の兆しを見せ、イタリアでは手がつけられないチームとなっている。
 それだけに欧州の強国が集うCLはインテルの本当の強さを測る絶好の機会と位置づけられている。イタリア内だけの強さという単なる内弁慶なのか、それともバルサやチェルシーにも引けをとらないタレント集団なのか…陣容を見る限りでは間違いなく前者のはずなのだが…この辺を読み解いていきたい。
 FWはタイプの異なる選手を5人要している。ファーストチョイスのイブラヒモビッチは、ユーべでの不振を脱して今輝きを放っている。まあカペッロの戦術に合わなかったのか、ただ単にユーべで不振を囲っていたのかはわからないが、インテルで調子を取り戻したことだけは事実だ。高さと技術を兼ね備え、難しい体勢からのゴールもゴールも簡単に決めてしまう。今年の彼の加入はインテルにとって計り知れないプラスとなっている。
 また、これまで実績も十分のクレスポ、特に大舞台での強さは証明済みでここぞと言うときのゴールを決めてくれる。また、脅威の左足を持つ男アドリアーノ、彼の左足のキック力は凄まじく、FKでも無類の威力を発揮する。そして、同じレフティでもこちらは魔法の左足と表現してもいいだろうレコバ。怪我に苦しんでいるが、ゴールゲッターとしてもチャンスメイカーとしても機能し、視野の広さは特に有名だ。また、高さに定評のあるフリオ・クルス。セットプレーでは攻撃だけでなく守備でも貢献してくれる。
 中盤も豪華だ。まず中盤ならどのポジションも水準以上にこなすスタンコビッチの存在は非常に大きい。彼が怪我をすればインテルは非常にピンチに陥るはずだ。
 守備的MFとしては、中盤の底で危機の芽を事前に摘み取るダクール、驚異的な身体能力と素早い攻め上がりが特徴のヴィエラ、広い視野でボールの捌きにも定評がありポジショニングに優れたカンビアッソとこの3人が戦術や対戦相手によって使い分けられるのは非常に強みだ。
 加えてSBも出来る守備的MFのサネッティ。彼は数少なくなったインテル生え抜きの選手である。SBだけでなくサイドハーフを任せられるのは、マンチーニ監督の信頼を得ており戦術的理解の評価も高い。守備だけでなく機を見た攻め上がりも得意だ。また、攻撃的MFとしてはソラーリとフィーゴもいる。フィーゴは一時指揮官との不仲説がささやかれたが、フィーゴも契約を全うするまではインテルの一員として尽力するとコメントしており、ここぞと言うときの起用は充分にあるだろう。
 SBは、昨年の反省を踏まえ大幅強化に踏み切った成果が現在のところ顕著に出ている。右はマイコンとサネッティ、左はマクスウェルとグロッソ、いずれも前者がより攻撃的、後者が守備的な扱いである。ただ、グロッソは攻撃も守護も水準以上に出来るという評価がありながらW杯以降調子を崩しており怪我にも苦しんでいた。
 CBは何よりマテラッツィの成長が著しい。W杯でジダンの頭突きを食らって(実際には関係ないと思うが)から以降はCBとしての安定感も増した感があり、今やインテルのファーストチョイスになっている。また、コルドバ、サムエル、ブルディッソ(こうやって見るとDFは南米系の選手が非常に多い)と実力者も控えており、やりくりには事欠かない。
 最近のインテルの戦術を見ていると、3センターハーフに移行して以降、ボールポゼッションにはあまりこだわらないず、どらかと言うと堅守速攻型のサッカーが目立っている。ただ、カウンターとはちょっと意味合いが違って、中盤の守備力の高い選手+SBで、自陣より高い位置でボールを奪取して。手数を掛けずにゴールまでボールを運ぶシーンが非常に多い。よって、カウンターのように陣形の重心が低いというわけでなく、積極的な前目の守備からボールを奪って素早く攻めあがる形が多くなってきているのが特徴だ。これは3センターハーフに非常に能力の高い選手を有しているので出来る積極策だ。そして、FWも決定力の高い選手を有しているので出来る戦術でもある。
 インテルが金満チームである、という条件はあるが、現有戦力を有効に活かしている、マンチーニにとっては極めて珍しい、素晴らしい戦術の構築であると評価したい。


■ インテルの弱み…やや守備力の低いDFとセットプレー
 中盤のディフェンスに対する約束事が見事に確立されているため、流れの中での失点のケースが少ないが、数少ない失点シーンを検証すれば、セットプレーと、鋭いカウンターでDFに風穴を開けられた場合があるようだ。
 ただセットプレーに対しては、高さというよりも低いボールへの対処の方が問題のようで、高さだけではマテラッツィやヴィエラ、サムエル、イブラヒモビッチのように制空権を握るのは困難な選手が多い。低いクロスやサインプレーがある程度弱いということが出来るかもしれない。
 また、FW、MFにくらべてDF、GKのタレントが見劣りする。特にSBの守備力は、あえて挙げれば弱点になるので有効なサイドアタックが仕掛けられればインテルにとっては厳しいかもしれない。また、GKは指揮官が信頼を置いていないポジションだ。J・セーザルにしろトルドにしろ、プレーエリアが狭く、現状のインテルの戦術にマッチしたGKとは言いがたい。この辺も弱点と言えば弱点だろう。


■ 私が監督ならこう戦う 対バレンシア戦
 初戦がサンシーロの予定だが、暴動事件のあおりで無観客試合か中立地での開催になる可能性が高い。インテルにとってはホームと言うほどのアドバンテージはないと思うがここはとにかく失点しないことが最大の目標になるだろう。昨年もビジャレアル相手にアウェーゴール差で敗れているため、マンチーニもアウェーゴールは痛いほど解っているはずだ。
 バレンシアはサイドアタックを中心に攻めを組み立ててくる。3センターハーフと+SBで数的有利をつくり、サイドアタックには充分にケアしたい。初戦はSBもサネッティやグロッソを起用し、3センターハーフはヴィエラ、ダクール、カンビアッソを起用し守備的に言ってもいいだろう。
 FWはアドリアーノも捨てがたいがここは、イブラヒモビッチとクレスポでいきたいところだ。大舞台でのクレスポの強さを買っての抜擢だ。また、クルスというバレンシアにはない高さも使えるオプションだ。もちろんアドリアーノも有効。マンチーニはその日のコンディションで使い分けが出来そうだ。
 得点することよりも失点しないことに重心を置くことが大事だろう。ただ、攻撃に関してはあれこれ言わなくともワールドクラスのプレイヤーがひしめくインテル攻撃陣には細かい指示をしなくとも、個人技で点を取ってしまうだけの力がある。あまり心配をする必要はないだろう。


バレンシア (リーグ成績 12勝6敗3分 3位)

-故障者リスト-(1st legまでに戻れる…○ 微妙…△ 無理…×)
△ エミリアーノ・モレッティ (DF)
△ ビセンテ・ロドリゲス (MF)
× エドゥ (MF)
× マリオ・レゲイロ (MF)
× ハイメ・ガビラン (MF)


-対戦相手との過去の成績-
2勝3敗3分  9得点12失点
直近の対戦成績 CL04-05年 グループステージ 1st 1-5 2nd 0-0 

-予想スタメン-

       ビジャ         モリエンテス

D・シウバ                    アングロ

        アベラルド   バラハ

トーレス   アルビオル   アジャラ   ミゲウ

            カニサレス


■ バレンシアの強み…強力なサイドアタック ビジャとモリエンテスの相性抜群 リーグ戦好調
 キケ・フローレスはアイマールを放出し、サイドアタック1本に戦術を絞った。現在のところこの戦術は機能していると言っていいだろう。ユーテリティープレイヤーのアングロやビセンテからレギュラーを奪ったシウバなど新勢力の台頭も著しい。アルベルダ復帰後はリーガも7連勝とついに3位にまで浮上してきた。
 ビジャとモリエンテスの相性も抜群で、バックアッパーとして確保したカルボーニがつれてきたタヴァーノもローマに放出。スペイン代表でもそのまま2トップに抜擢されるなどこの二人の完成度は高い。昨年はビジャ依存症などと言われたがそりも払拭できつつある。何よりもボールもキープできるセカンドトップタイプのビジャとどっしり構えるセンターフォワードタイプのモリエンテス。二人の持ち味がうまく活かされており、この二人にサイドから絶好のパスが出てくれば、得点はそれほど難しい話ではなくなるはずだ。
 中盤の選手やビジャはテクニシャンでボールキープ力が非常に高い。この辺はボールを簡単に奪われないと言う優れた利点でもある。彼らが3位に躍進できたのも、怪我人の復帰も大きいが、戦術が見事に浸透していることと個々の能力が非常に高いことを裏付けていると思われる。


■ バレンシアの弱み…尚多い怪我人と層の薄さ アルベルダの相方問題 そしてCLの前がバルセロナ戦!!

 ひところに比べれば怪我人も復帰してきたがそれでも尚中盤には4人の怪我人を抱え、うち3人は間に合わない選手である。中盤のやりくりには実際苦労しているのは間違いない。そして本来は右サイドで輝いているはずのホアキンもコンディションが上がらないまま。アングロが好調でユーティリティ性にも優れていたから事なきを得ているがこの辺も苦しい台所事情に拍車をかけている。
 また、アルベルダの相方も非常に気になるところだ。バラハが間に合えばバラハと言うことになるだろう。守備力もあり長短のパスもある程度散らせる。リーガでも見せていたようにアルベルダの相性も良い。
 しかしバラハが間に合わなければ…これは深刻な問題になるだろう。
 もともとCBもマルチェナを使えば守備面での問題はないが、パスを散らすという能力には乏しい。下手をすれば前線に効果的なパスが出ないまま試合が終わるかもしれないという危惧がある。
 ここでOMFのウーゴ・ヴィアナを使うという案もある。しかし彼の場合、攻撃面での貢献は期待できるが、守備は相当のリスクを背負うことになる。元々がトップ下の選手である。中盤の底で守備をしなさいというほうが間違っている。
 バラハが間に合わないと…バレンシアには厳しい現実が待っているかもしれない。
 そして更に厄介なのがCL前のリーガはホームでのバルセロナ戦ということ。順位に大きな影響を及ぼしそうなだけに追いかけるバレンシアとしてはここも全力で取りにいくことになる。結果的に中3日でスペインからイタリア(かフランスかスイス)に移動してインテルと戦わなければならないのだ。非常に厳しいといわざるを得ないバレンシアの現実である。


■ 私が監督ならこう戦う…メンバー次第では守りに徹する必要も
 全てはアルベルダの相方次第と言うことになる。バラハが間に合えば、効果的なカウンターにも期待できる。前がかりになるインテルの裏をつく速攻のサイドアタックで、点を奪える可能性も無くは無い。それがアウェーの正攻法になるだろう。
 しかしバラハが間に合わなければ…マルチェナで守備的に凌ぐしかないかもしれない。リバプールには攻めろといっておきながら、なぜバレンシアには守れ、と言うのか。答えはボランチ。リバプールには攻撃のタクトを揮えるジェラードとアロンソがいるが、残念ながらバレンシアの現状のメンバーでは厳しい。この2週間でCB上がりのマルチェナに視野の広いパス技術が身につくはずも無く、ともすれば、我慢もやむなしのサッカーになるかもしれない。ウーゴ・ヴィアナを使うなら事前のテストが必要になるだろう。果たしてバルサ戦で"仮想インテル戦"に見立てて、ヴィアナをフローレスが使えるだろうか?現実的に考えても、ヴィアナのボランチは無いと見て、マルチェナでどこまでやれるかを見る必要があるだろう。


◇ 勝ち上がり予想 … インテルが80%の可能性で勝ち上がり
 バレンシアが好チームなのは間違いない事実なのだが、相手が悪すぎて、怪我人も多くて、日程も悪くて…バレンシアにはマイナス要素が多すぎる。彼らに勝利を要求するのは、気の毒と言うことになりそうだ。エドゥや全盛期のホアキンがいれば…非常に好ゲームが期待できると思うのだが。
 逆にインテルは勝って当たり前と言う試合になる。しかしセリエAでは強豪らしい強豪と対戦していないので、バレンシアがインテルの足元をすくう可能性はなくも無い。平和ボケしているインテル相手に1st legでリードを奪えれば…インテルに昨年同様の屈辱を与えることが出来るかもしれない。

(注:データは2/9現在のもの)

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by R-130 | 2007-02-10 00:15 | ∟UEFA CL 06-07