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2006年 07月 14日
食品スーパー裏話:「先入れ・先出し」にまつわるエトセトラ
 この前、嫁とベイビーの3人で嫁の実家に車で移動中。某大手コンビニに寄った(←別に伏せなくていいんだろうけど…(^^ゞ)
 八百屋とベイビーは車でお留守番。嫁に飲み物を買って来てもらった。
 嫁は車に戻ってくるなり、嬉しそうに、
嫁:「じゃーん♪めんたいこマヨネーズおにぎりぃ」
と八百屋に見せびらかす。嫁は○○マヨネーズの具のおにぎりが好きなのだ。

しかし、その満面の笑みは次の瞬間、失望へと変わった…
嫁:「あ゛ーっ!!このおにぎり、焼きたらこになってるうぅ(゜∇゜ ;)」
おっちょこちょいな嫁のこと。八百屋はどうせ嫁が棚を間違えておにぎりを取ったのだろうと思い、
八:「どうせ隣の棚から引っ張ってきたんだろう、よく見もせずに(^_^;)」
と軽ーくうっちゃってやったら、嫁は息巻いて
嫁:「いいや!!ちゃんとめんたいこマヨネーズの棚の"一番奥の商品"を取った!!」
と主張。ここにピンと来るものがあった。
何故嫁は、めんたいこマヨネーズの棚から、焼きたらこのおにぎりを引き当ててしまったのか?憶測を交えつつ説明しよう。

例えば、めんたいこマヨネーズのおにぎりを△、焼きたらこのおにぎりを▲とする。
おにぎりの棚を真上から見下ろしていると仮定して、左がお客さんから見えるおにぎり面、右側をおにぎりの棚の壁としよう。


お客さんの目線 →→→  ▲▲▲▲▲(焼きたらこの棚)
                 △△△△△(めんたいこマヨネーズの棚)

基本的にはこんな風に並んでいるはず、だが、時としてこのような事態が発生することがある。おにぎりの在庫が、焼きたらこ6個、めんたいこマヨネーズ4個。
おにぎりは棚奥行き5個まで陳列可能。
この場合、おにぎりの総数は10個なので、無理矢理並べようとすれば2列で陳列できる。
どのように陳列するかと言うと… 


お客さんの目線 →→→  ▲▲▲▲▲(焼きたらこの棚)
                 △△△△▲(めんたいこマヨネーズの棚だけど4個しかないので焼きたらこを1個めんたいこマヨネーズの列の1番後ろに置く)

これは、おにぎりに限らず食品スーパーではよくある事象で、棚の後ろの方には得てして表示してある商品と違う商品が並んでいたりする。これがおにぎりのようにパッケージをよく見ないと分別がつかない商品の場合は、嫁のように「新しいものがいいもんね♪」と言う考えの下、奥の商品を選ぶとこういう悲劇が待っている。
コンビニ店員としても1個同一商品が棚に乗らなかったからと言ってバックヤードに引いていては手間隙かかるので、しれっと違う棚に陳列し、売れてきたら商品整理することで該当の棚に載せよう、と考えたのだろう。哀れ嫁は、新鮮な商品を買おうとしたがために、違う商品を掴まされてしまったのだ…

 さて、この「棚の奥の方の商品」を取る光景。スーパーでは当たり前のように見られる風景だ。ひどいお客さんだと、棚の奥の商品を無理矢理取ろうとして、手前に整然と並べてあるほかの商品の陳列をぐちゃぐちゃにして、奥の商品を取ろうとする。もちろん、お客様には商品を選ぶ権利があるのでこのような行為を我々小売業の定員がとがめる理由などこれっぽっちも無い。しかし、折角綺麗に並べた商品をぐちゃぐちゃにされてしまうと殺意むなしさを覚えてしまうのも事実だ。

 この「棚の奥の方の商品」を取る傾向があるのは、もうご存知だと思うが、棚の手前の方には(もっとくだけて言えば、お客様が取りやすい所には)賞味期限の古い商品を、奥の方には新しい商品が並んでいるのをお客様が理解しているからだ。
 我々もこのように陳列するように習っており、これを業界用語としては「先入れ・先だし」と言っている。先入れ・先出しは、賞味期限の古い商品から少しでも早く売れることで、商品を賞味期限切れになって捨てなくていいように売る為の、まあ我々としては販売努力の一環である。

 ここで、少しタネ明かし。それではどうすれば、「より新しい商品にありつけるのか?」を少し伝授したい。
 例えば棚の奥の方から、商品をほじくるように出すのには抵抗がある、恥ずかしい、と言う人は次の2点を知っているだけでも、古い商品を掴むリスクは減るはずだ。

1つ目は、「右手の法則」。
我々は右利きが圧倒的に多い。買い物も自然と右手で行っているひとが多いだろう。
例えば横に広い売場(例えば豆腐売場)なんかでは、この陳列テクニックが使われていることが多い。
鉄則は右側に古い商品を並べる、である。
こういうデータがある。
全ての商品が同一賞味期限の場合、どのような減り方をしていくかという実験を行った。
結果は、向かって右側から減っていったと言う。何も考えなければ、正面向かって右手を伸ばすので右側の商品からどんどん減っていく。右手の法則はこれを逆手に取っている。
賞味期限に気を遣わない人は、大体商品を右から取っていくと言う。

○賞味期限の新しい商品→ ○○○○○○○○  ←●賞味期限の古い商品 
                   ○○○○○○○○  
                   ○○○○○○○○  
                   ○○○○○○●●  
                   ○○○○○○●●  
                   ○○○○○○●●  

                【豆腐売場を真上から見た場合】

このような陳列方法を取られている可能性が高い。
よって新しい商品を取りたければ、左側を取ればよい。
豆腐などのように賞味期限があれば、期限をチェックすればよいが、我々八百屋の商品は賞味期限が無い。ともすれば、この法則は100%活用されているので、賞味期限の無い商品については右手の法則を逆手にとって欲しい。


次に「ゴールデンライン」と言う用語がある。これは、人間の目線から胸くらいまでのラインに陳列された商品はよく売れる、そのラインのことを言う。つまり、このラインに陳列された商品は賞味期限が古い可能性があるのだ。
牛乳売場を例にしよう。

      高さ
      2メートル→  ○○○○○○○○○○     ○…賞味期限の新しい商品
                ○○○○○○○○○○
                ○○○○○○○○○○
                ○○○○○○○○○○
                ○○○○○○○○○○
     1.5メートル→  ●●●●●●●●●●     ●…賞味期限の古い商品  
(大体この辺が       ●●●●●●●●●●
ゴールデンライン)    ○○○○○○○○○○
                ○○○○○○○○○○
                ○○○○○○○○○○
                ○○○○○○○○○○

                【牛乳売場を正面から見た図】

我々小売業の人間は、誤解を恐れずに言えば商品を捨てずに販売したいために(利益が残るので)あの手この手で古い商品をお客さんに行き渡らせようと、地味な努力を展開している。もちろん期限が切れた商品は廃棄するd、期限切れ間近の商品は、割引して販売している。
しかし、消費者にはもちろん商品を選ぶ権利がある。当然新しい商品の方がいいに決まっている。
そのためにもこのお話が役に立てれば幸いだ。
あと、嫁のようにパッケージもロクに見ずに買う事さえしなければ、ご希望の商品をより鮮度のよい状態で買うことが出来るだろう。

賞味期限が気になる方、ちょっとスーパーがどのように並べているか、観察してみてはいかがですか?

by R-130 | 2006-07-14 21:56 | 食品スーパー裏話


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