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2006年 07月 25日
食品スーパー裏話:天候不順が野菜や果物に与える影響
 「八百屋」のブログなんで、たまには野菜や果物に関する真面目な話をしようかなーと思います(^^ゞ

 今年は、春先以降「天候不順」が密かに農業界(←そんな業界あるのか?)では問題になっていました。まずは、春先から5月いっぱいまで「日照不足」。その後、入梅後全国各地で集中豪雨。太平洋高気圧の張り出しが今年も強く、台風が来そうになったりして、梅雨前線を刺激し、全国的に大雨が記録されています。もう、とっくに梅雨明けしてもいいはずなのにまだ梅雨明けせず。このブログを書いている次の日ぐらいから、漸く九州では天候が夏らしくなりそうですが、全国的にはまだまだのようです…
 
 さて、今年の天候不順の中に具体的なキーワードが2つありました。
「日照不足」「集中豪雨(大雨)」です。この二つが、野菜や果物にどのような影響が出るのかちょっと説明してみたいと思います。


■ 「日照不足」になるとどうなるか?

【野菜:花がつかなくなり、生り物の生育不良が起こる】
 花が咲いて実を結ぶ野菜、例えばきゅうり・なす・とまと等、これを我々は「果菜類」と呼んでいるんですが、果菜類の生育不良がおきます。具体的には、花の付きが悪くなるので結果実も実りづらくなり、収穫量が減って、野菜の相場が上がります。全体の影響が及ぶような深刻な問題ではありませんが、日照不足は特に果菜類に大きなダメージを与え、また全体の成長速度が鈍る傾向を生み出します。

【果物:甘みが低くなります】
 日光は、果物の甘み(われわれはこれを「糖度」と呼んでいます)に重要な役割をもたらします。日光を沢山浴びれば糖度もあがりますが、曇天が続くと必然的に糖度が下がり、食味がよくなく、結果売れなくなります。安くてまずい果物が横行している場合、多くがこのサイクルに陥っています。


■ 「集中豪雨(大雨)」になるとどうなるか?

【野菜:収穫が出来なくなり、また多くの野菜が畑で腐ります】 
 まず大雨になると、農家の方が収穫できません。大雨が降ると、農場も一気に危険地帯になります。ぬかるんだりするので傷つけずに収穫しなければならない集中作業も出来ません。
 そして、怖いのは豪雨の後の晴天。特に夏場。水分をタップリ含んだ野菜は、その後の炎天下にさらされようものなら一気に腐ります。特にレタス・きゃべつ等の葉茎菜類はテキメンに腐ります。よくレタスやきゃべつの葉をむしっていたらいきなり腐っていたというシチュエーションの殆どは、雨をかんだ葉っぱがそのまま生育して腐ったパターンです。

【果物:果実の玉が肥大化し、甘みが低くなります】
 果実は、雨にさらされると、地下茎から雨水をぐんぐん吸い上げて、肥大化します。われわれはよく「玉伸びする」なんて言い方をします。この季節なら、すいかや桃や梨、みーんな玉伸びして大玉化します。「大きくなるならいい事じゃん」と思われがちですが、何せ水分を含んで大玉化するので水っぽくなり食味は良くないです。曇天時よりさらに糖度が下がります。特にすいかはこの影響を受けやすく、甘くない西瓜が続出します。長野のすいかは毎年甘いことで有名なんですが、今年は初荷からあまり高い値がつきません。長野も豪雨で相当被害が出ているらしいので、ひょっとすると西瓜の食味にも影響がでいる可能性が極めて高いでしょう。


さて、長々と説明して、結論は何がいいたかいと言うと、

野菜は相場が高騰!!
果物は今年は食味が期待できない


と言うことになりそうです。もう、野菜は相当に高騰していて庶民が気軽に買える値段から大きく外れてきています。九州ではトマトだけ安定しているみたいでトマトは安いです。
でも、このように安定している野菜もいずれ釣られて上がるでしょう。現に今まで安値推移の、玉ねぎやジャガイモもこの高騰を受けて、関係ないはずなのにじわじわ上がってきています。
果物は味に期待が持ちにくい状況になっています。スーパーさんによっては果物の糖度を公開しているスーパーもあるので、その糖度を参考に買いまわるのも手です。果物は美味しくてナンボ、価格は2の次と言う信念の八百屋なので、頑張っておいしい品物を仕入れようと最近は努力しています。

この傾向は、お盆当たりまで続きそうです。暫くは、野菜が「高級食材」になりそう。上手に、冷凍野菜やカット野菜(←これらはどれだけ相場が上がろうと価格は一定、但し物が調達できなければ生産中止になる可能性はあるけど…)を買って相場高騰を凌いでください(^^ゞ

by R-130 | 2006-07-25 17:05 | 食品スーパー裏話


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