2007年 06月 21日
サッカー:カペッロが果たした「義務」とは?
 自分はWOWOWを見ていないので、リーガ・エスパニョーラを語るの資格はないのだが、これだけは言わせてもらいたい。

 今年のリーガ・エスパニョーラは、レアル・マドリーとバルセロナとセビージャの3チームに優勝の可能性が残っていたが、一番有利なレアルが勝利を収めて、リーグ制覇を久々に成し遂げた。

 カルデロン会長やミヤトビッチの今年の目標は、一応達成されたことになる。
 バルサからの覇権の奪還…最終節までもつれたものの、クラシコも1勝1分とバルサを結果でも上回り、シーズンとしては充実したものになった…

 本当に充実していたのか?
 優勝して尚、カペッロ監督の去就問題が連日報じられるなど、およそ優勝したチームとは思えない騒がれようである。

 ここまで騒がれている要因を整理してみたい。


【要因1】:ハイレベルとはいえなかったリーガ

 最終節までもつれた割りに、盛り上がりに欠けていたように感じたのは、自分がリーガ・エスパニョーラを生で見ていなかったからかもしれないが、それを差し引いても何処か盛り上がりに欠けた感のあるシーズンだったように思える。
 今年は所謂最終節まで争った3強の取りこぼしも多く見られた。一時は、バレンシア、サラゴサ、アトレティコまで含めた6チームにまで優勝の可能性があるほど混沌としたものだ。
 その後3チームが脱落した後も、3強が揃って引き分けて勝ち点差に変動がなかったりするなど、およそハイレベルとはいえないシーズンだったように思える。
 その物足りなさは、ベスト16で敗退したレアルとバルサのコンディションが上向かなかったと言うのも挙げられる。かたやセビージャはUEFACupを掛け持ちし、優勝した(2年連続)。そう考えればリーガがお粗末だったといわれても、致し方ない事情があったように思える。


【要因2】:カペッロが連れてきた選手の体たらくと見限った選手の活躍

 カペッロは、マドリーにエメルソンとカンナバーロを連れてやってきた。また、ガゴの獲得にもご執心だった。
 しかしこの選手らが、周囲の期待通りに活躍することはシーズンを通しては無かったと言っていいだろう。
 逆に、戦力外通告をされ、LAギャラクシーへの移籍を決めたベッカムは、怪我から復帰した31節以降7勝1分と言うハイペースで勝ち点を積み重ね、優勝の立役者となったことはいうまでもない。今となっては、カペッロの最大の失敗とも言われているベッカムの放出である。
 また、これたま戦力外と言われたエルゲラの踏ん張りや、信頼を勝ち得なかったレジェスが最終戦で2ゴールを挙げるなど、カペッロの采配や判断が果たして正しいのか?と問題提起したくなるような展開でシーズンが終わってしまったのも、無視できない事実である。


【要因3】:結果が出れば良いと決断した上層部と、結果だけでは満足しないファンとの確執

 バルサに勝てないシーズンが続いたレアル。とにもかくにも、まずは「結果」というのがカルデロン会長の思惑だった。それはミヤトビッチとて同じだっただろう。
 しかし、ファンは得てして、会長やミヤトビッチと同じ思考ではなかったと言うことだ。
 如何に勝ち点を積み上げようと、カテナチオ式カルチョでは、スペインのマドリスタを満足できるはずも無かった。しかもベンチには、ロビーニョ、レジェス、ラウール、グティと言った攻撃的センスに優れた選手を多く抱えていたのだ。しかし彼らにスタメンが与えられることは無く、よくてスーパーサブ扱い(シーズン後半はグティとラウールの出場機会は増えたが)。カンナバーロやラモス、エメルソン、ディアッラと言ったフィジカルタイプの選手をセンターに並べてしっかり守って失点をしないサッカーに明け暮れては、攻撃的なバルサのサッカーに憧れ半分やっかみ半分のマドリスタの気持ちを掬う事など出来ようはずも無い。
 ここが、カルチョの国イタリアならこれでよかったと思う。結果が全て、ライバルよりいい成績を得ることが全てのカルチョの国ではそのスタイルは賞賛されるであろう。
 しかしここは情熱の国スペイン。
 攻撃が情熱を呼ぶことはあっても、ガタイ任せの守備が情熱を呼ぶことは無かっただろう。


【要因4】:カペッロの懐刀となり得たベッカムの放出

 要因2とダブるが、ベッカムの放出はやはり失敗だったといわざるを得ないだろう。
 別にカペッロだけを非難するつもりは無い。
 コンディションの上がらなかったベッカムにも非がなかったわけではない。
 肖像権の問題では悉くチームと対立し、嫁さんの絡みもあっただろうが、一歩たりとも譲歩しなかったため、自分の立場を失ってしまったと言うのもある。
 しかし、カペッロも、もう少し選手をリスペクトする必要があるだろう。
 少なくとも、勝てば自分の手柄、負ければ選手のせい、というメディアを使った扇動が最後は自分の首を絞めることをこの1年痛いほどよくわかったはずである。
 落ち着いて考えれば、守って守って1-0で勝つ、と言うプランに、精度の高いFKを持つベッカムが大きな武器になるのは自然の理であるはずだ。実際そのようなパターンで勝ちを拾った試合は少なくない。
 カペッロのベッカム戦犯作戦は、最後の最後で自分の足場をも揺らがせる大きな失態となった。
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 カペッロは最近、スペインのメディアに対して
「最低の義務は果たした。」
とコメントした。それは、最低限、優勝をチームにもたらした、と言うことが言いたいのだろうか。
 しかし、監督の交代劇が大々的に報じられ、チームの核となり得る選手を失い、また選手同士の対立すら生んだとされるカペッロ采配。
 彼はチームになにをもたらし、どのような義務を果たしたと言うのか?

 ヘタフェのドイツ人獲得、シュスターが時代のレアルの監督と言う報道もなされている中、カペッロの進退は来週中にも明らかになると言う。
 優勝しても去就問題に発展してしまうカペッロ。
 その実績は華々しいが、以前からブログで指摘したとおり、やはり1人の人間としては問題があるといわざるを得ない監督であろう。
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by R-130 | 2007-06-21 21:59 | ∟Football otherissue


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