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2007年 05月 24日
サッカー:UEFAチャンピオンズリーグFinal ACミランが欧州制覇 
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 正直、欧州No.1を決める試合に相応しかったかといえば疑問である。
 自身が、今年のミランとリバプールに懐疑的な気持ちしか持っていないと言う部分を差し引いてもだ。
 まず覇者となったACミランはミスが多かった。怪我から復帰のマルディーニも含む、だ。
 一方試合のペースを握っておきながら両サイドハーフの球離れの悪さで、多くのチャンスを潰したリバプールには、攻撃の創造性があまり感じられなかった。

 それでも今年のFinalである。見所がないわけではない。
 両チームのファンには手に汗握る好ゲームだったかもしれない。自身がFACupの決勝を周囲の評価とは対照的に"好ゲームだった"と評価しているのと、感覚的にはなんら変わらないのかもしれない。
 06-07シーズンCLの集大成。Finalを簡単に振り返りたい。



○ ACミラン 2 --- 1 リバプール ●  at スピロス・ルイス(アテネ)
** ACミランは 02-03シーズン以来 3度目
(チャンピオンズカップ時代を含めれば7度目)のビッグイヤー獲得

【得点者】 インザーギ('45)('82) カイト('89)
【警告・退場】 ガットゥーゾ(b) ヤンクロフスキ(b) キャラガー(b) マスチェラーノ(b)


■ ACミラン 4-3-2-1

         インザーギ

  セードルフ         カカ

アンブロジーニ  ピルロ  ガットゥーゾ

ヤンクロフスキ マルディーニ ネスタ オッド

           ヂダ
【交代】
 
 ヤンクロフスキ   →   カラーゼ ('79)
 インザーギ   →   ジラルディーノ ('88)
 セードルフ   →   ファヴァッリ ('90+2)

 これ程までにシステムを頑なに貫き通して、と言うか、オプションを持たずして勝ち続けたチームも珍しいのではないか。このように、馬鹿の一つ覚えのような布陣で欧州を制覇出来たのもカカのおかげである。
  また、リーグ戦では好・不調の波の激しいセードルフも、CLでは経験を活かした活躍を見せてくれていた。特に後半は、ヤンクロフスキの守備が下手な左サイドのカバーにまわっていたのが印象的だった。
 そして最後はやはり、大舞台に強いインザーギにやられた。こうして見ると、確かにCLの経験値ではミランが一歩上だったといえる。ただ、先制されていれば…どうなったかわからないのもまた事実。


■ リバプール  4-5-1

          カイト

ゼンデン   ジェラード  ペナント

    マスチェラーノ アロンソ

リーセ アッガー キャラガー フィナン

          レイナ
【交代】

 ゼンデン   →   キューウェル ('59)
 マスチェラーノ   →   クラウチ ('78)
 フィナン   →   アルベロア ('88)

 2トップはカイトと誰か?というメディアの予想を覆して、カイトの1トップにジェラードがトップ下のような布陣。この布陣はカカやセードルフにボールを配給するピルロを封じる、と言うベニテスなりの作戦が盛り込まれており、ある程度功を奏していた。
 しかし、相変わらずクラウチを後半途中から投入してからの、クラウチを活かす戦術への切替が出来ておらず、あれならまだベラミーを入れたほうがましと言うところか。最後に足がつって動けなくなったフィナンに代えてアルベロア…最後なんだから攻撃的なカードを切るべきだし(多分延長を睨んだ交代だと思うが)、如何せん今日のベニテスは腰が重すぎた。
 カカ封じは80点だったが、インザーギをちょっと軽視していたのと、自チームの両サイドハーフの出来が悪すぎて、ベニテスとしては負けた気がしないのではないだろうか。


 前半。
 間違いなく試合を支配していのはリバプールだった。特にミランはペナントを自由にさせすぎていた。そのペナントが非常に多くボールを持つが、如何せん判断が遅すぎて多くのチャンスを潰すと言う、最悪のパターンでリバプールはチャンスを潰していった。また、負傷明けのゼンデンも出来は悪く、スピードもなければ積極的なプレーもなく、しかも守備的な貢献度合いも低く、厳しかったといわざるを得ない。まあ、後半出てきたキューウェルもリーグ戦最後で気を良くしたのか独善的なプレーが多く、今思えばこの両サイドは問題だったと言うことになるだろう。ベストで見せたような、アルベロアをLSBに据えてリーセを上げても面白かったと思う。
 カカにマンマークを付けると言うわけでもなく、中盤を厚くしてパスコースを分断すると言う策をとったベニテスの戦術は8割がた成功した。特にピルロにジェラードを当てるようにし、ピルロに仕事をさせないことで効果的な配給を寸断する戦術は見事だった。
 ただ、カカの突破をファールで防ぐ、と言うようなシチュエーションは予想するはずもなく、カカの見事な突破をファールで止めてしまい、結果1点目を献上してしまったのは、成り行き上、仕方のないことである。しかも、この1点は、ピルロのFKがインザーギの肩に当たるというラッキーな側面もあった。
 "インザーギならではのゴール"
 なんていえば聞こえはいいが、10回やって1回当たるかもわからないようなラッキーなゴールである。これは交通事故のようなもので仕方がないといわざるを得ない。

 後半。
 ペナントを自由にさせすぎていた元凶のヤンクロフスキのカバーに1点を取ったことで守備的にシフトしたセードルフが入ることで幾分左サイドのクライシスは回避できた。アンチェロッティが、後にこの守備が下手なヤンクロフスキに代えてカラーゼを入れたのは中々いい采配だと思う。
 ゼンデンも故障明けだったが、これまでのCLでの実績を買って無理矢理使ったが、やはり歳と言うこともあり出来は最悪に近かった。キューウェルも無謀な突破が多かったが、リーセとのコンビネーションが悪くなかったので、最初からキューウェルでもよかったと思うし、前述のアルベロア-リーセのラインでも面白かったと思う。
 後半も、ミランが結構ミスしてくれたことで、ミドルレンジに大量のボールがこぼれたが、ペナントの判断ミスなどで殆ど後期を活かせなかった事が敗北に繋がった。決定的なジェラードの突破のチャンスも、変にまとまりすぎてコースを突いたのをヂダにあっさり読まれてしまい(いかにも、"そこ"を狙っていますオーラが出すぎていた)同点の最大のチャンスも不意にしてしまった。
 そして、ミランのカウンターに足が止まり始めたリバプールDFラインを見事に切り裂いたのが、カカからインザーギへのスルー。キャラガーも元気ならオフサイドを取りにいかず、インザーギについていっただろうが、あの時点ではインザーギに振り切られるのがわかっていたのでオフサイドを取りに行った、が、インザーギの動きの方が1枚上手だった。レイナをうまくひきつけてわきの下を通してゴールに流し込み2-0。こちらのゴールはまさにインザーギらしかった。
 これまで、幾度となくリバプールの危機を救い、今日もカカを1対1で止めるなど八面六臂の活躍を続けていたジェイミー・キャラガーも、ここで力尽きてしまった。

 その後は、ペナントのCK→アッガーのヘッド→カイトのヘッドと繋いで、1点返したのが89分。この瞬間は自身もひょっとしたら、に打ち震えたが、如何せん逆転するには時間が短すぎてタイムアップ。


 You'll never walk alone.の大合唱も届かず、
 ベニテスのロスタイムが短いことへの抗議も虚しく、
 
 ACミランが、見事にイスタンブールの雪辱を晴らす、優勝劇を見せてくれた。
サッカー:UEFAチャンピオンズリーグFinal ACミランが欧州制覇 _c0101167_1624999.jpg

 最後に、データどおり、主審がミランに若干(?)甘かったことも付け加えておきたい。


 終わってみれば、カカはゴールこそ奪っていないものの、
 1点目のFKの獲得(カカに対するファールでFKを得た)。
 2点目のインザーギへのスルーパスのアシスト。
 と、2点に絡む活躍を見せた。ベニテスはこれまでのようにカカを自由にはさせなかったものの、それでもカカは仕事したのだから、これは前回公言したとおり、間違いなくバロンドールものだろう。そして、今年のCLはカカのためにあったようなものであり、ACミランは間違いなくカカがいないと凡庸なチームでしかなかった、と言うことも付け加えておきたい。これは、手厳しい言い方かもしれないが間違いのない事実である。
 そして、昨年のロナウヂーニョ同様、勢いのあるクラッキは、戦術で動きを束縛することができない事も改めて付け加えておきたい。

 戦術至上主義、と言われる昨今において、戦術をも凌駕する個人技は、いまだ存在しえると言うことを体現して見せた、カカによるCLFinalだったと言う、在り来たりな感想だが、これにてCL決勝の振り返りを終わることにしたい。


 来期は、カルチョスキャンダルも落ち着き、各選手W杯の疲れを引きずってシーズンin、と言うこともないだろうから、今シーズンよりはよりイコールの条件でのコンペティションが行われることを期待したい。

by R-130 | 2007-05-24 16:10 | ∟UEFA CL 06-07


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