2007年 05月 21日
日本時間の19日の夜に行われたFACup決勝。同時刻でJ-Sportsでブンデスリーガの最終節も行われていましたが、八百屋は浮気せずFACup1本に絞って観戦(^^ゞいきなり横道で恐縮ですが、ブンデスリーガは残念ながら今年もシャルケは優勝を飾ることが出来ませんでした。今年は4-3-3にシステムを変更し攻撃的なサッカーで見るものを楽しませてくれましたが、残念ながら攻撃的過ぎるが故の"取りこぼし(しかも負けが多い)"に泣きました。と言うことで、奇跡は起きずにシュトゥットガルトが優勝です。 さて、イングランドの今季のトリを飾るFACup決勝。昨年はリバプールとウエストハムが死闘を演じましたが、今年は所謂2強の順当対決。どのような試合だったのか、簡単に振り返りたい。 ■ マンチェスター・ユナイテッド 4-3-3 ルーニー ギグス ロナウド スコールズ フレッチャー キャリック エインセ ヴィデッチ ファーディナンド ブラウン ファン・デルサール 【交代】 フレッチャー → スミス ('92) ギグス → スールシャール ('122) キャリック → オシェイ ('122) 個人的に、DFラインのこの並びは対人関係における守備力としてはマンU最強ではないかと思う。(RSBのポジショニングではネヴィルだが)ただ、エインセにしてもブラウンにしてもSBが本職ではないだけに、クロスの精度が悪すぎた。 スールシャールとオシェイはPK要員か。PK戦はなかったが… ■ チェルシー 4-3-3 J・コール ドログバ ライト・フィリップス ランパード ミケウ マケレレ ブリッジ テリー エッシェン フェレイラ ツェフ 【交代】 J・コール → ロッベン ('46) ライト・フィリップス → カルー ('94) ロッベン → A・コール ('108) 怪我人続出で、GKのイラリオをFW登録するのでは、とサイトに情報が飛び交うほど逼迫していた選手層だが、A・コール、ロッベンは不可能、といわれながら実際に試合に出た。戦前の登録問題はただの嘘なんだとすればがっかりな話だが、たまたま戻って来れたんだとすればすごい話である。ただ、ロッベンは試合中にさらに別の箇所を傷めて、これまた本調子でないA・コールと交代している。 試合前には、選手の頭数が足りないと悲壮感を漂わせていたモウリーニョだったが、いざベンチを見れば、A・コールやロッベンが入っている。モウリーニョのスタンスとして、プレーできない選手はベンチに入れないので、ひょっとしたら出場の可能性があるのか…と仰天したが… マンUはネヴィルが間に合わなかったがその他はほぼベストの布陣。戦前の予想では、層の薄いチェルシーをマンUがボコボコにするような展開もあるかと思ったが…さすがはチェルシー、そんなやわなチームではなかった。 試合は、中盤を激しく潰しあう試合に。強豪同士が、失点を嫌うとこのような試合展開によくなるが、プレミア特有の激しい守備も相まって(Jだと相当笛吹かれるんじゃないかってくらい、激しいプレーがオンプレーになるのがプレミアのいいところである)前半は一進一退の攻防だった。 特にチェルシーの中盤から最終ラインの守備は、隙を見せなかった。集中し、マンUの決定的な攻撃を未然に防いでいた。ロナウドには常時2人ついて、中への切れ込みを警戒しコースを切ってサイドに流すように徹底していた。ある程度時間をかけさせれば、クロスについては対処できるという自信があったのだろう。それともモウリーニョの指示だったのかもしれない。実際ロナウドからのクロスはテリーやエッシェンがしっかり対応していた。 一方のチェルシーの最近のお家芸(と言うかこれしかないというのもあるが)ドログバへのロングボールは、復活したヴィデッチとファーディナンドの鉄壁コンビがほぼ完封していた。マンUは、スコールズの組み立てを中心に攻撃を図るが、ルーニーが今日は若干コンディションが悪かったように見える、それでも良く動いて攻守にわたり活躍、チャンスメイクもしていたが…それだけチェルシーのDFが抜け目無かったのかもしれない。 前半。 最初のチャンスは22分。 チェルシーのカウンター。中盤でJ・コール→ドログバ。守備が整っておらずずるずる下がるDFラインを尻目にドログバがドリブルで仕掛けてシュートコースを作り右にも誓えてシュートするも枠の上に。 30分、今日最初の点が入ってもおかしくなかったシーンはチェルシー。 ライト・フィリップスがマンUの右サイドでためて走りこんできたランパードにうまくパス。ランパードの相手DFの股間を抜くシュートは、ファン・デルサールが読んでいたのかしっかり対応していた。 34分はマンU反撃。 スコールズの柔らかいロングパスロナウドにピタリと渡って反転しシュートするが左へそれる。 前半は潰しあいの中0-0で経過。 後半。 最初からいきなりJ・コールoutロッベンin。 47分、マケレレのトラップミスをルーニーがスティールしてそのままチェイスするマケレレを振り切ってシュートするもツェフがグッドセーブ。マンU子の試合最初の決定的なチャンス。 56分。スコールズのまたしても自陣からの正確なロングフィードが左サイドのギグスへ。ギグスはダイレクトボレーであわせるが若干ボールの下を叩いてしまい枠の上。 62分には、ロッベンが左サイドから2人を交わして中に切れ込みシュートを放つもこれはファン・デルサールの正面。 63分。ルーニーが対峙していたエッシェンと入れ替わり左サイドを突破。最後少しドリブルが長くなり、飛び出したツェフが辛うじて先にキャッチしルーニーが吹っ飛ばされるも、これはもちろんPKは無し。 90分。キャリックが左サイドに流れていたルーニーへ。ルーニーがフェレイラを振り切りシュートするもこれはエッシェンが身を投げ出してカバー。そう言えばフェレイラは前半、ロナウドにも振り切られていた。 後半は、両者が徐々に攻撃的に行きだしてスペースが生じ、攻守の切替が早くなりカウンターも見ごたえがあった。 延長。 92分にフレッチャーに代えてスミス。94分、ライト・フィリップスに代えてカルー。 103分。マンU最大のチャンス。 カウンターから、右サイドに流れたルーニーが絶妙のグラウンダーのクロス。 走りこんでいるスミスにはわずかに届かなかったが、ギグスにはバッチリ合うかに見えたがギグスのシュートは当たり損ねて、ツェフがキャッチ。しかし、走りこんだ勢いでギグスが体ごとツェフを押し込み、ボールはゴールラインを割っていたが当然ノーゴール。ギグスがツェフを勢いで体ごと押し込めたのはツェフがキャッチした後。審判は笛すら吹かなかったが、正確に言えばキーパーチャージになるだろう。もちろんノーゴールの判定だ。ただ、イングランドのホスト局が、よっぽど"ゴールだろう"と言いたげにリプレイを流しまくっていたので、ディレクターはマンU贔屓なのかと思ってしまった。 120分。またもマンUに劇的なチャンス。 スコールズのこの試合何度も見る、超正確なロングフィードが今度はゴール前のルーニーの足元に収まる。も、これもツェフが飛び出して間一髪先に触り難を逃れる。 そして、これらの危機を全て乗り越えた124分にチェルシーが決勝点。 中盤のミケウからの構築。 ドログバがゴール前でうまく受けて、右にいたランパードへショートパス。 これをランパードか1-2で処理してドログバへ!! この1-2にヴィデッチ・ファーディナンドも一瞬対応が遅れ、最後慌てて飛び出したファン・デルサールも一歩間に合わずドログバのシュートがマンUゴールへ。 これが決勝点となり、チェルシーが7年ぶり4度目のFACupの覇者となった。 個人的にこの試合の感想を。 ミケウはポジショニングは非常によくなった。後はパスの能力を高めれば、非凡な中盤として機能するかもしれない。モウリーニョはマケレレの後釜と考えているようだがうまく行けばマケレレ以上になるだろう。 今年最大の驚きスコールズ。昔のプレースタイルとはガラリと変わって、視野の広さと正確なロングパスでこの試合もマンUを牽引していた。ベタなネタで恐縮だが、新しいウイイレでは彼のロングはス精度は95以上になることは想像に難くない。 また、個々の選手のレベルが高く見ごたえのある試合だった。 普通だったらタッチを割りそうなボールも割らない、それだけの技術がある。 タックルも激しいけど、イタリアにありがちなダーティさがない。審判も必要以上に笛を吹かない(今回の審判は割りと吹いていたが)。だからプレー時間も長く、テンポも良い。 今日の試合をつまらない、と形容する人も多いと思うし実際ブログに書かれている方はそういう人が多かった。 でも、個人的には中々見ごたえのある試合だったと思う。 今年のイングランドのサッカーシーンは、 リーグ制覇 … マンチェスター・ユナイテッド カーリングカップ … チェルシー FACup … チェルシー で、幕を閉じた。 今週半ばに実施されるCL決勝で、リバプールはまたもビックイヤーを戴冠する事ができるだろうか?個人的には、ミランのチームとしてのピークが過ぎたような気がするので、その可能性は充分にあるように思える。
by R-130
| 2007-05-21 12:40
| ∟Premierleague 06-07
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