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2007年 02月 08日
サッカー:UEFAチャンピオンズリーグ ベスト16プレビュー① リバプールvsバルセロナ
 いよいよ近づいてきているチャンピオンズリーグ・ベスト16。全試合は出来ないと思いますが、八百屋的に気になる試合を中心にプレビューをして見たいと思います。まずは、05-06の王者バルセロナと04-05の王者リバプールのビッグマッチ。八百屋的に解きほぐすと割と一方的な展開になりそうな気もしますが…どうでしょうか(^^ゞ



バルセロナ (リーグ成績 12勝2敗7分 1位)

-故障者リスト-(1st legまでに戻れる…○ 微妙…△ 無理…×)
△ サミュエル・エトー (FW)
△ リオネル・メッシー (FW)


-対戦相手との過去の成績-
1勝2敗2分  4得点4失点 
直近の対戦成績 CL01-02年2次リーグ 1st 3-1 2nd 0-0 


-予想スタメン-

  ロナウジーニョ    サビオラ       ジュリ

    デコ                シャビ

            エヂミウソン

  ジオ    マルケス  プジョル  ザンブロッタ  

             バルデス


■ バルセロナの強み … 高いボールポゼッションを中核とした超攻撃的サッカー
 巷では、"バルサのサッカーは対策されつつある"という論調がにわかに強まってきているがそれは恐らく誤解しているだけだろう。トヨタカップ以降、調子が落ちておりけが人も出ているだけで、メンバーが戻って調子も上がれば手がつけられないような攻撃サッカーが戻ってくるはずだ。
 4-3-3という不動のシステムで、細かいショートパスを多用しポゼッションを高めて中盤を制圧するサッカーは最早完成の域にある。メンバーがここ数年それ程変わっていないのも組織力が高い証拠である。エトーという大黒柱を欠いても、グジョンセンや一時戦力外とされていたサビオラがその穴を埋め、サッカーの内容が色あせることは無かった。
 ワイドに開く両ウイングは、中へのドリブルの切れ込みも出来るドリブラータイプが多く、フィニィッシュにも絡むどちらかと言えばウイングと言うより、セカンドトップといった役割だ。チャンスメイクも、タテに抜けてセンタリングより、中に切れ込んでマークを乱して決定的なパスを供給するか、あたりに来なければ自らシュートと言う決定的な役割が多いのも特徴だ。
 中盤は1ボランチの2センターハーフと表現すれば良いか。センターハーフではあるが寄り攻撃的なタクトを任されている。デコをファーストチョイスに、長短のパスでリズムを作りたいときにはシャビ、ドリブルによる攻め上がりを作り出したいときはイニエスタと特徴が別れているのも非常に都合が良い。
 両SBは、攻撃も守備もハイレベルなクオリティが要求されるがどちらかと言えば守備に重きが置かれているポジションであり、ファン・ブロンクホルストとザンブロッタ、バックアッパーはオレゲールのみと若干層の薄さは気になるが質はきわめて高い。シウビーニョやベレッチは守備に難があり指揮官の信頼は勝ち取れていないのが現状だ。
 また、CBにはマルケスと言う、ロングフィードに優れた選手がおり、攻撃のオプションには事欠かない。
 これら多くの選手にそこそこの層の厚さも加わり、一人や二人の選手が抜けてもバックアッパーが抜けた穴を補完して、クオリティーを落とさずサッカーが出来るのが強みである。しかも初戦にはエトーも戦列に復帰するだろうし、それなりのメンバーでオーダーが組めるようになるのもライカールト監督には心強いだろう。ポゼッションを高め、相手にプライオリティーを渡さず相手のリズムを崩し、たたみかける攻撃で相手のゴールを襲うのが強いバルサのサッカーの真骨頂である。


■ バルサの弱み…固定できない「ボランチ」と、前がかりになった時の空いたスペースのケア
 今年バルサで大きな問題になっているのは「ボランチ」。ここに「この人!!」と言う存在がいないのがネックになっている。
 ライカールトが序盤辛抱強く使い続けたモッタ。フィジカルに優れており、守備力にはそれなりに備えているが、何より無用なファールが多くすぐにイエローをもらってしまうのが最大の難点である。守備の要なだけにあっさりイエローを頂戴してしまうとその後のゲームプランに大きな支障が出てくる。致し方ないイエローはしょうがないとしても、不要なイエローはチームに不必要な緊張を生んでしまう。彼は結局ライカールトの信頼をつかむことが出来なかった。
 エヂミウソンは能力の高いことは疑いの余地は無いが、ややモビリティに欠ける事。ボールの展開能力に欠けるところがややボランチとしての起用をためらう理由だろうか。まあ、満遍なく出来なくは無いが残念ながらファーストチョイスになりえないのがライカールトの正直な思いだろう怪我しがちでコンディションがなかなか保てないのもマイナス要素。
 マルケスはボランチでもそれなりに起用できる選手である。フィジカルも強くフィードも正確。ボランチとしては適役と言えなくも無い。しかし、マルケスをボランチで起用すとCBのコマ数が不足するのだ。そこで、CBIには本来ならテュラムを使いたいところだが怪我でコンディションを崩しており、また厳しい見方をすれば、高齢で90分ベストパフォーマンスを期待するのが難しいと言う一面もある。
 後は専業ではないオレゲールぐらいしかおらずCBに目処が立たないことも、マルケスをボランチで使えない理由である。
 シャビもボランチが出来なくは無いが守備力に不安があるのでこれは、攻撃的にいきたいという"オプション"として使うべきだろう。

 また、相手にがっちり引かれて守られて点が入らないとだんだん焦れだして前がかりになりすぎるきらいもある。そうなると守りはボランチ+CB2枚になってしまい、流石のプジョルでもこれを対応するのは厳しい状況だろう。相手に都合よく攻めさせてカウンターと言うスタイルではない為、致し方ない部分ではあると思うが注意が必要だろう。


■ 私が監督ならこう戦う 対リバプール戦
 初戦はカンプ・ノウの為バルサとしてのプライオリティーは、0-0の引き分けより2点差以上で勝つことを目標にすべきだ。アウェーゴールは怖いがカンプ・ノウという素晴らしい雰囲気で戦えることを考えれば、勝つことが絶対条件、出来れば2点差以上の勝利が目標となるだろう。
 リバプールの弱点はズバリ左サイド、バルサ側の右サイドが攻略の鍵になる。リバプールは守備の出来るLSBがいない。ジュリとザンブロッタの連携でリバプールの左サイドを攻略の起点にしたい。また、グジョンセンよりモビリティの高いサビオラを起用したい。高さと強さはあるが、スピードに対して難のあるリバプールDF陣に、サビオラ・ジュリといった屈指の俊足タイプの選手には手を焼くだろう。
 逆に守備面では、効果的な上がりを見せるシャビ・アロンソとジェラードに対するケアが必要になってくるだろう。右のペナント、左のアウレリオ(リーセ)は両SBがマッチアップするとして、時に効果的な上がりを見せるこの二人を、自陣のどこまで入ってくれば捕まえるようにするのかをハッキリさせておきたい。少なくとも、フリーのままプレーさせるようなことなれば両者の正確なミドルの餌食になる可能性はきわめて高い。この辺の約束事は必要になってくるだろう。やはりボランチの役割は高くなりそうだ。



リバプール (リーグ成績 15勝6敗5分 3位)

-故障者リスト-(1st legまでに戻れる…○ 微妙…△ 無理…×)
○ モハメド・シッソコ (MF)
× ハリー・キューウェル (FW)
× ルイス・ガルシア (FW)


-対戦相手との過去の成績-
2勝1敗2分  4得点4失点 
直近の対戦成績 CL01-02年2次リーグ 1st 1-3 2nd 0ー0 


-予想スタメン-

       ベラミー      カイト

アウレリオ                  ペナント

       アロンソ     ジェラード  

リーセ   アツゲル    キャラガー   フィナン

             レイナ


■ リバプールの強み…ホームに強い 攻撃タレントは欧州でも屈指
 最近リーグ戦は好調を維持。カップ戦に敗退し、リーグもほぼ3位か4位というところから、照準をCL1本に絞れるというのも強みだ。
 リーグ戦ホームの成績は10勝3分と負け無しでかなり強い。アンフィールドという雰囲気の良いスタジアムも、理由のひとつかもしれない。
 攻撃面では今シーズンから加入したタレントが当っている。オランダから来たカイトは、まさにこれ以上ないといった補強だった。スコアラーとしても、チャンスメイカーとしても、ウインガーとしても水準以上の能力を持っており、まさに今期のリバプールの攻撃陣を牽引している。また、高さのクラウチ、速さのベラミーと、特徴のそれぞれ異なるFWを有しているのも強みで、戦局に応じて使い分けが出来るのもベニテス監督としてはゲームプランが立てやすいだろう。思い切って、アウレリオのところにベラミーを持ってきて、カイトとクラウチの2トップという布陣も可能だ。
 ペナントはようやくここに来て調子を上げており、右サイドは今後もどうやら彼に託されそうな雰囲気である。左サイドは、リーセ、アウレリオ、M・ゴンサレスと守備には難があるが攻撃力ではなかなかのポテンシャルを持つ3人が犇めいておりさほど問題はない。ルイス・ガルシアの離脱を最小限に食い止めている。
 アロンソとジェラードのコンビも攻守にわたって安定。シッソコがまもなく復帰するが、ファーストチョイスはこの2人であろう。


■ リバプールの弱み…守備の出来ないLSB スピードの対応に難のあるCB アウェーでの戦跡の不安定さ
 守備陣に問題を抱えているのと、アウェーでの戦績が悪いのはあながち無関係ではないだろう。アウェーで押し込まれたときに、守備陣が踏ん張れないのも大きな理由のひとつだと思われる。
 アウェーでの成績は5勝6敗2分。とりわけ6敗もしており、初戦のカンプ・ノウでもこの辺が非常に心配される。
 また、ウォーノックをブラックバーンに放出してしまい、守備の出来るLSBがいなくなってしまったのも非常に問題だ。守備を殆どしないリーセと、スピードは豊だが守備力に難のあるアウレリオ。CBの不安とあいまって最大のウイークポイントになっている。
 CBもキャラガーの相方が不安定だ、ベテランのヒーピアは衰えが顕著で、タテの突破に対応できなくなってきている。逆に若手のアッゲルはようやく落ち着いて来たように見えるが、まだ若さゆえの不安定さがぬぐえない。どちらを使っても不安が残り、バルサの攻撃陣を支えられるか、心許無い。


■ 私が監督ならこう戦う…アウェーでも攻撃姿勢を貫く
 初戦はアウェーになるリバプール。正直チームの格はバルセロナの方が1枚上手である。そんな相手にはとにかく自分たちのサッカーをやること。これに尽きるだろう。
 具体的には、両SBが攻めあがったスペースを有効活用するサッカー。いまやバルサ封じの定番となりつつあるが、両サイドハーフにそのミッションをこなせる適役を揃えているだけに、やらない手は無いだろう。ペナントやアウレリオ・リーセが正確なクロスを繰り出せるのであれば、クラウチを前に据えるのも面白い。ただ、バルサのCBは、ハードマーカー揃いなのでクラウチがイマイチ役に立たない可能性は否定できないが…
 また、バルサが試合の主導権を握る前に、アロンソ・ジェラードが巧みにオーバーラップを仕掛けてあわよくばミドルを放ち、バルサにやすやすとプライオリティーを握らせないことも重要になってくる。アウェーだから、最悪0-0でアンフィールドに帰れれば…そんなゲームプランが出来るなら、プレミアリーグでマンUに13ポイントも離されるはずがない。ここは、アウェーでも愚直に自分たちのサッカーを貫くべきである。ややもすれば1st legで勝負が決まるような結果にもなりかねないが、ここい1番に勝負強いバルサである。相手の出端をくじくくらいの大胆さがないと、リバプールの勝ち上がりはないだろう。


◇ 勝ち上がり予想 … バルセロナが75%の可能性で勝ち上がり

 八百屋的には見た目以上にチーム間格差があるように思える。バルセロナが調子を落としているという現状を踏まえてもリバプールには厳しい相手だということは間違いない。
 最大の失敗は冬にDFを補強するどころか、ウォーノックを放出してしまったこと。守備が出来るしかも両SBが出来るDFを放出してしまったことで、LSBの守りは常に不安が付きまとう。ベニテス監督が4バックと3バックの両方を試しているのもどちらを使っても落ち着かないからだろう。ここは間違いなくリバプールの泣き所になるはずだ。
 後はクラウチ。彼が鍵を握っているだろう。バルセロナが唯一手におえないものがあるとすればクラウチの高さ。彼が本領発揮をすればバルサにとっては脅威だろう。しかし意外にハードマークを受けると何も出来なくなるというプレーの幅の狭さが今季見られており、ここが一皮剥けないと、クラウチもリバプールの武器にはなり得ないだろう。
 いずれにしても役者も経験もバルサが上と見ている八百屋。リバプールは1st legに全てを賭けるつもりで臨まないと突破は厳しいだろう。
(注:データは2/8現在のもの)


by R-130 | 2007-02-08 06:14 | ∟UEFA CL 06-07


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