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2007年 02月 05日
サッカー:カターニャサポーターの暴動事件でセリエAは2週にわたって試合中止に
■ ファンが暴動、警官死傷=国内リーグ、当面休止も-イタリア・サッカー…時事通信


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 セリエAがまた大変なことになっている。
 カルチョ・スキャンダルという前代未聞の癒着事件の後味がまだ消えきれない時に、今度はサポーターの暴動による死者が出る騒ぎが起こったのだ。
 正直、サッカー界に於けるセリエAのイメージは大きく損なわれてしまったといっていいだろう。

 事の発端は2/2(金)のカターニャvsパレルモのシチリアダービー。
 後半13分に、審判の判定を不服としたカターニャサポーターが暴動を起こしたのが始まりとなった。
 その後試合は35分に渡って中断。警官隊も暴動を抑えるために催涙ガスを使うなどスタジアムは騒然となった。
 試合は再開後、0-1からのビハインドだったカターニャはガゼルタのゴールで追いつくが後半38分にディ・ミケーレのゴールで再度逆転を許し、1-2で敗れた。

 試合後、スタジアムに入れず、また試合の結果に不服だったサポーターが再度暴動を起こす。鉄棒や発炎筒などを持って警官を襲撃。まさに暴徒と化したカターニャサポーターは、ついに制止に入った警官を殺してしまうという(爆竹のような爆発物をパトカー内に投げ入れ、中にいた警官1名が死亡)最悪の事態に発展。他にも警官1名が重傷を負い、1命死亡、150人以上が負傷するというまさに最悪の事件へと発展してしまった。

 これによりあくまで現在の暫定処置として報じられているが、3日以降のセリエAは約2節(2週間)に渡り中止し、その後無観客試合による再開が検討されているという。また、サッカーA代表やU-21代表の試合も延期もしくは中止を発表、いまイタリア全土のセリエA、セリエBと代表関連試合が全てストップするという異常事態に陥っている。
 実はイタリアでは前の週にもアマチュアリーグで、暴動を止めようとしたチーム関係者が逆にサポーターの襲撃にあって死亡するという痛ましい事件が起きたばかりだった。


 
 ヘイゼルの悲劇、という話をご存知だろうか?少し歴の長いフットボールファンならご存知の方も多いと思うし、そのフレーズは聞いたことがある、と言う方も少なくないだろう。詳しい話の内容はこちらに譲るとして、暴徒化したサポーターが起こしたもっとも悲惨で痛ましい事件として現在にも語り継がれている。39人が死亡し、500人以上の負傷者を出したこの事件で、イングランドのクラブチームは5年間、UEFAが開催するカップ戦から追放。ベルギーは向こう10年間カップ戦の開催権利を失い、ヘイゼルスタジアムは国際試合での使用を永久に禁止される処置となった。

 フットボールは世界でももっとも競技人口が多いスポーツである。しかし、であるがために痛ましい事件も少なからず起きている。このようなサポータの暴動により、サポーターや暴動を制止しようとした第3者の死亡、また選手がサポーターの標的になった事件も珍しくない。有名な話としては、94年のW杯アメリカ大会、グループリーグのアメリカvsコロンビア戦で、自殺点をアメリカに献上してしまい当時優勝候補とも目されたコロンビアが予選で敗退。その自殺点をしてしまった、(当時)コロンビア代表DFエスコバル選手が、帰国の途に着いた空港で男女4名に銃撃され、銃弾12発を受けて死亡するというこれまた凄惨な事件が起こっている。

 文化が違い、サッカーが根付いていない日本のフットボールファンが言うのはおこがましいかもしれないがあえて言わせてもらう。

 暴力を起こしたところで何も残らない、むしろ失うものの方が大きい、と。

 欧州のフットボールの文化は日本とは違い、我々からしてみればサッカーの試合で死者なんて考えられない事態だから、この件に関して口を挟むのは違うかもしれない。
 でも、暴力は許されるべきものではない。あくまでもフットボールはスポーツである。審判の判定が如何にアマチュアであろうとも、それを司るものはスポーツであって、法でも権力でも富でもないのだ(と、信じたい)。
 どのような事態であれ、暴力に訴えることは実に愚かな事だ。暴動を起こしたところで絶対に満足など得られるものではない。

 この事件に対して、イタリアは国を挙げて毅然とした態度で臨んでもらいたい。セリエAの評価も地に墜ちるかもしれない。しかしそれも仕方のないことだ。リーガを取り巻く事実を、認識し受け止めることが必要だろう。そして、それを浄化できれば…その時は、時間がかかるかもしれないが、またあのときのような興奮がやってくるものと信じたい。

 無観客試合が現在検討されているセリエA。クラブとしては収入に大きなダメージを食らうだろうし、年間シートを確保しているサポーターからは批判が来るかもしれない。しかし、これを機に、安全な試合運営が出来る方法をより深く検討し、それが実施できる目処がつくまでは、安易に再開させるべきではないと思う。

 亡くなった警官の命に哀悼の意を捧げると同時に、今後このような痛ましい事件が起きないように祈るばかりである。



 参考までに。
 今シーズンはUEFAカップで、2件の痛ましい事件も起きている。
 1つは、暴動を起こしたパリSGのサポーターが、鎮圧しようとした警官の発砲を受けて死亡。
 1つは、オランダのフェイエノールトのサポーターがピッチに乱入して、フェイエノールトは大会から追放されている。
 また、イタリアでの過去の惨劇をまとめたサイトはこちらを参照
 

by R-130 | 2007-02-05 01:00 | ∟Serie A 06-07


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