2006年 11月 29日
F1:2007年のF1カレンダーからF1の未来を憂慮する
 さて、来年のカレンダーについては既に発表済みなのだが、ちょっと振り返ってみたい。


◆◆ 2007年F1開催スケジュール ◆◆

開幕戦 オーストラリアGP 3月18日  メルボルン
第2戦 マレーシアGP   4月8日   セパン
第3戦 バーレーンGP   4月15日  シャキール
第4戦 スペインGP     5月13日  バルセロナ
第5戦 モナコGP      5月27日  モンテカルロ
第6戦 カナダGP      6月10日  モントリオール
第7戦 アメリカGP     6月17日  インディアナポリス
第8戦 フランスGP     7月1日   マニ・クール
第9戦 イギリスGP     7月8日   シルバーストーン
第10戦 ドイツGP     7月22日   ニュルブルクリンク
第11戦 ハンガリーGP   8月5日  オンガロリンク
第12戦 トルコGP     8月26日  イスタンブール
第13戦 イタリアGP    9月9日   モンツァ
第14戦 ベルギーGP   9月16日  スパ・フランコルシャン
第15戦 日本GP      9月30日  富士 
第16戦 中国GP      10月7日  上海
最終戦 ブラジルGP    10月21日 インテルラゴス


 今年との変更点は
1.開幕はオーストラリアに変更(以前に戻るといった方が正しいか)
2.サンマリノGPとヨーロッパGPがカレンダーから抹消
3.ベルギーGPが復活
4.中国→日本 だったのが 日本→中国に順序が変更
5.サーキット開催地が変更
 ドイツGP ホッケンハイム → ニュルブルクリンク
 日本GP  鈴鹿  →  富士

と、なっている。
 バーレーンとスペインGPとの間に4週間ものブレイクが存在している。これは、ファンにとっては寂しい限りだが、チームとしては開幕前の2回のバーレーンテスト→直オーストラリア入りして開幕戦→セパンでテストのため直セパン入りして続けて第2戦→連戦のため直バーレーン入り→第3戦バーレーンGP、と言うことでこの8週間が休みがないためチームとしては貴重な春休み、と言うことになりそうだ。
 また、原則1国1GP開催に基づき、サンマリノGPとヨーロッパGPが消滅。サンマリノGPはサーキットの老朽化をFOMが再三指摘したにもかかわらず、2007年までにFOMを納得させるようなサーキットの改修がおぼつかないことからも、消滅が決定した。ドイツGPは、ニュルとホッケンハイムを5年おきに交互に開催することで合意が取られている模様だ。

 この1国1GPの原則は、日本にも暗い影を落とす。そう、富士と鈴鹿の同時開催の可能性が非常に低くなったのだ。八百屋も、一時は「どーせパシフィックGPかアジアGPで、鈴鹿が復活するだろう」をたかをくくっていた。しかし現実はそうは甘くなく、このままだと鈴鹿にF1が戻ってくるのにはしばらく時間を有することになるかもしれない。

 興行的に、日本でF1を開催することは美味しいはずだ。世界水準でみても高い観戦チケット代、スポンサー収入、テレビ放映権料…どれをとっても美味しいはずだ。しかし、かつては日本でも2度開催されていたF1サーカスが、現在ではFOMがその案件に見向きもしなくなったのは、新しい地域でのF1開催に、非常に多くの国と地域が名乗りを上げており、そしてその新規市場は日本で2度開催するよりも興行的に美味しいと言う試算が得られているからである。

 まず2010年に韓国GPの開催が正式に発表された。その他にも、インドGP、ロシアGP、ドバイGP等、アジアを中心に複数の地域でのGPが検討されている。これは、観客収入は日本には及ばないものの、スポンサー収入は日本を上回る収入が見込め、観客収入の不足分を補って余りある物があるといわれている。
 それは、欧米や先進国で取られているタバコ政策がそれほど厳しくないと言うこと。そして、グランプリ開催の糸を裏で引く、超大口スポンサーの存在が取り沙汰されている。これまで、ヨーロッパで主に開催されていたF1だがEUのタバコ政策で、タバコマネーが期待できなくなり、タバコマネーに頼らない開催をしていくために、世界に広く視野を向けた結果、タバコマネーより美味しい現状が転がっているといった実情が浮かび上がってきた背景がある。

 これは、欧州でのF1開催の将来的な減少を暗示している。
 現に、エクレストンはイギリスGPとフランスGPの隔年開催を提案。もちろん両者ともこのような提案を飲むようなことをするわけ無いが、ヨーロッパで開催の危機に瀕しているサーキットは、マニ・クールとシルバーストーンであることは誰もが知っている。
 また、FOMは年間20戦の開催を提案しているが、これはチーム側には相当の肉体的・金銭的負担を強いることとなり、実際には年間18戦くらいが最大開催数で落ち着くこととなる。今のカレンダーに、サンマリノGPが復活せずに韓国GPが開催されることで年間18戦。インドやロシア、ドバイで開催するとなれば、必然的にヨーロッパ(もしくはカナダ)のグランプリが減少することとなる。
 脱ヨーロッパは、グローバルな視点で見れば悪い話ではないかもしれないが、同時に伝統あるクラシカルサーキットが、グランプリカレンダーから姿を消すことをも意味する。オールドファにとってはこれほど寂しいことはない。

 そして、サーキット絡みでどうもきな臭さを感じるのは、ヘルマン・ティルケ監修のサーキットに潜む巨大な利権が動いているのではないかと言うこと。
 この所、ブランニューサーキットの至る所にヘルマン・ティルケの名がチラついている。彼が監修したサーキットは、セパン、上海、イスタンブール、そして、来年からカレンダーに加わる富士。この4つで、いずれもここ数年からF1の歴史がスタートしたばかりのサーキットだ。そして、わが国日本においても、TOYOTAがティルケを招聘し、富士の改修に彼を監修させたことで、鈴鹿からF1開催権を半ば強奪。このティルケ招聘、富士開催がらみに、実に巨額の金が動いたと一部では報じられている。そしてその金はほぼ全額TOYOTAが出資したものと見られている。

 つまりティルケサーキット絡みで多くの利権が動いており、最終的にはF1の興行収入以外でも、FIAやFOMがホクホクに潤う構図が近年出来上がってきているのだ。ティルケに大金をはたいてサーキットを監修させ、FOMに大金を払ってF1を招致する。この構図は今後一時続きそうな気配だ。
 簡単に言えば、1国1GP開催、と言う大義名分を縦に、ヨーロッパの多くのクラシカルコースでのF1開催が危ぶまれる、ということだ。以前は、1国2GPが黙認されていたのも、それには大きな収入におけるメリットが存在したから。中には、サンマリノGPやルクセンブルクGPのように、開催されるサーキットが冠がついている国にないのに、無理矢理引っ付けて開催した例もある。
 しかしもうそれも昔の話。金を求めて、F1がグローバル化していくのは何とも皮肉な話だ。

 これは、サッカーにおいても例外でない。チェルシーやウェスト・ハム、ポーツマスのように1部の金持ちがチームを買収して有力なスカッドを揃えるために、個人資金を惜しげもなく投入するような時代だ。世界にはほんの一握りの調勝ち組み企業が存在し、彼らが更なる利権を求めてF1の招致に暗躍する…

 F1がヒューマンスポーツからスポンサーやFOMのドル箱になりつつある、悲しい実態が年々浮き彫りになっているような気がしてならない。その中で、F1の中身を面白くするために、実に不可解なレギュレーション変更が断行されているのだろう。

 迷走しているような気がしてならないF1サーカス。
 頼むから、グランプリだけは、純粋でそして興奮するレースを期待したいものである。
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by R-130 | 2006-11-29 23:53 | ∟F1 2006 other issue


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